現状・相談のきっかけ
令和2年からの新型コロナウイルスの影響で既存顧客の外出自粛傾向が進み、店舗への来店客数が大幅に減少し売上が半減してしまいました。また、賞味期限が短いパンは、当日売れ残るとほぼ廃棄となることから、利益率も大きく低下していました。一方で市場ではパンを冷凍してまとめて発送するインターネット販売の需要も増加しており、相談者はこの機に楽天ショップと契約したものの1件も売れず、どうすればよいか教えてほしいと当拠点に相談するに至りました。
課題内容
まず既存ECサイトの状態について検証しました。多くのパン商材が存在する中で、当店の特徴が訴求されておらず、商品内容や対象写真がわかりにくかったことから、単品の選択でネット購入しにくい状況でした。
次に当店の商品特性を分析しました。当店の強みや優位性として、素材へのこだわり、天然酵母を活かした独自の配合レシピ・製造方法などがあることを確認しました。しかし、これまで既に味を理解している常連客をターゲットに販売活動をしており、新規顧客に向けて商品価値を明確に表現することができていませんでした。そこで、「新規顧客にも伝達できるよう商品特性を明文化し、ECサイト特性に適した商品提案で売上拡大させること」を課題として設定しました。
支援内容
新規顧客への価値の訴求とEC販売に適した新商品開発を支援
まずは、ECサイトで当店魅力と商品優位性をわかりやすく伝えられるよう、強みを明確にして文字化することを支援しました。相談者にとって当たり前のことも、お客様には大きな魅力であり、これまでの顧客の生の声を検証しながら、特性を1つ1つ吟味し、視覚的に伝えるための写真とサイト構成の改良を助言しました。送料負担等を感じにくい新商品の投入を提案し、3000円程度の詰め合わせ商品を開発。生産効率を高めるための生産体制整備にも助言し、設備導入の資金確保のための補助事業活用の申請から実施まで支援しました。また、商圏拡大に向けた地域情報誌への広告掲載、自社ECサイトとSNSの連動による販促強化にも取り組みました。
ポイント
相談者は1人で運営していて販促対策等に不慣れな事も多く、わからないことはそのままにせず相談で解決するよう促して信頼関係を構築しました。新商品は店舗提供する場合と形状が異なるため、おいしく食べるための保存方法、解凍方法などの食べ方提案などのサービスも充実させて顧客満足度を高めるよう助言しました。新規・既存顧客共に利用頻度を高めることを意識し、個々の顧客との関係性の強化に努めるよう促しました。
成果・今後の展望
自店の商品の魅力を潜在顧客にわかりやすく伝達する体制を整え、外部ECサイトでは北海道から九州まで全国にリピーターを獲得でき、30件/月の注文を得られるようになりました。認知度を向上させ、その他にも外部カタログ掲載やイベント販売などの新規販売ルートも構築できました。地域情報誌の掲載とSNSの連動などの情報周知活動の成果が発揮できており、前年比30%以上の売上増加を達成できています。
相談者の声
コロナ禍で先行きが見えず不安な中、親身に相談にのってもらい、問題を一緒に解決していってもらえ、とても安心できました。自社の強みがどんなものかを客観的に分析することができ、経営改善への取組みの考え方や優先順位を明らかにできました。今後も引き続き支援をお願いしたいです。

