Case Study 事例

2023.03.06事例

【売上拡大支援】生産工程の革新による「生鮮焼き菓子」の商品化と全国展開!

「焼きたて作り立ての焼き菓子」をコンセプトに、焼き菓子の本当の美味しさを知ってもらう為、フランスや東京の有名店で修業を重ねた店主が2014年に相模原市に開業した焼き菓子専門店である。地産地消材料を中心とした素材を使い、新鮮さにこだわった商品を提供してきた。小さな店舗ながら週末には40人~50人/日ほどの来店客があり、売り上げは年々右肩上がりとなり2020年度は前年比120%の売上高になっている。

相談のきっかけ

当店の「焼き立ての焼き菓子(従って個包装しない)」はお客様に支持される人気商品であるが、当時の厨房設備は安定して量産できる機器ではないため必要量を一度に生産できず、手間と時間がかかっていた。また、店主が一人で製造と販売を行っているため、商品を全国展開するための時間が取れない悩みもあった。このため、生産性を上げ、販売を強化するための時間を創出するべく、ものづくり補助金を活用したいとのことで支援依頼があった。 強みと機会を洗い出し、今後の方向性と課題を設定

コロナ禍にあっても商品は売れていたが、地元客や固定客が中心であった。そこで、「作りたての焼き菓子を全国のお菓子ファンに味わっていただきたい」との思いを課題化するために、クロスSWOT分析を行った。 その結果、強みは以下のように分析 ①基本材料への徹底的なこだわり ②舌の肥えた顧客がついている ③人気商品がある ④手作り感、安心感がある ⑤商品の質に比して値段が安い 機会(チャンス)はこのように ①オンライン購入の高まり ②冷凍食品技術の進歩 ③安心、安全意識への高まり ④贅沢品への購入意欲の増加 ⑤巣ごもり需要の増加より以下の課題設定を行った。

ア.強みを活かした新サービスの開始

イ.新サービスのインターネットによる全国展開

具体的には「焼き菓子の概念を超えた『生鮮焼き菓子』の商品化と全国展開、及びそれを実現する製造プロセスの革新」とした 生産性向上、販路開拓を中心とした事業計画策定を支援

課題を受け、当初のものづくり補助金の申請に加えて、「従来の焼き菓子を超える『生鮮焼き菓子』で新たな顧客を獲得すること」を骨子とする「経営革新計画」の申請を提案した。これにより、生産性向上だけでなく、新規顧客の獲得も目標とし、事業全体を俯瞰した事業計画を策定することとなった。 一方、相談者からは新サービスとして地元客、固定客を中心とする従来の一般消費者に販売する事業に加えて、従前から要望のあった半製品をカフェ等に提供するB to B事業が提案された。そして全国の一般消費者向け、カフェ・喫茶店向けそれぞれに商品の魅力、生産方式、商品ラインナップ、テストマーケティング、売り上げの実現性についてまとめていただいた。 支援のポイント気をつけたこと

事業計画策定においては新しい設備の導入を中心にするのではなく、新事業の革新性とその販売戦略に留意した。具体的には、①製造の全工程にわたって、改善の手段と生産性改善効果を明確にすること、②受注から発送までの業務フローを提示すること、③競合店が多くあるなかで目指す当店のポジショニングを示すことを主眼に支援した。また、できるだけ写真、図を入れ、わかりやすい申請書にすることにも注力した。

新製造設備で目標通りの生産性向上と品質を実現

かながわ中小企業成長支援ステーションのご協力により経営革新計画は採択された。また、ものづくり補助金を活用した新製造設備の導入により、生産性と品質の向上が実現した。これにより、売上の機会損失が解消され、コロナ禍のなか2021年度は前年対比4%の増収となった。2022年上半期も前年同等に推移している。 更に、経営革新計画の「生鮮焼き菓子を全国に届ける」は新たな商品を、そしてカフェ・喫茶店向け卸ビジネスはパイロット販売を経て、セールス方法を準備中である。 相談者様の声

初めての補助金申請で不明点が多かったのですが、自分で書いた事業計画書の原案を活かし要点や伝えたいことなどわかりやすくまとめブラッシュアップしていただきました。打ち合わせを重ね、事業計画書の最終版が完成した時は必ず採択されると自信が湧いてきました。採択後も店の状況も気にかけてくださりひとり経営の身としてはとても心強い相談相手になっていただいています。

支援先企業名 焼き菓子屋Sucreco