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日本を代表する技術をもつ企業の収益強化と資金繰り改善

事業者情報

企業名
株式会社片桐エンジニアリング
所在地
横浜市鶴見区尻手3-5-34
業種
製造業
相談内容
事業再生

超高真空領域装置部品の設計、製作、設置を行うエンジニアリング会社。

平成3年に現代表者が独立して開業。大手半導体製造装置メーカーに開発機を提供するほか、国内大手企業が世界各国に提供する癌治療機のコア部品を製造している。

現状・相談のきっかけ

当社経理部長がメインバンク担当者とよろず支援拠点に来訪され、金融支援を続けているものの追加融資が厳しいとメインバンク本部から示唆されている状況でした。資金繰りが厳しいため、有料の民間支援機関の活用が困難であることから、経営再建計画立案のサポートをよろず支援拠点に依頼できないかとの要請を受けました。

課題内容

1PJあたりの受注額は数千万円前後のものが多く、開発から設置までを行うためPJは6ヶ月から1年以上を要するものも存在する状況でした。手形貸付(3.5%)で資金調達を行っており、PJの期間が伸びたりトラブルが生じたりすると資金繰りに窮することも多くありました。

また、PJ毎の限界利益率目標を設定しているものの、スローガン的なものにとどまっており、PJ管理責任者は実質的に存在せず、適切なPDCAが回っている状況とは言えないことが分かりました。

営業活動が社内で体系的に実施できているとは言い難く、代表者や少数の幹部に技術的課題が持ち込まれてそれが案件化するという「待ちの営業」による受注が当社の標準的なスタイルになっていました。

支援内容

当社に伴走し再建計画を立案、実行支援を実施

「売上高」、「限界利益率」、「債務償還年数」の3指標の改善をKGI(Key Goal Indicator)とする経営再建計画の策定を支援しました。300万円以上の受注案件について、『限界利益早見表』という管理帳票を作成し、受注時点での変動費予算や内部工数の割付けを見える化しました。更に変動費予算を執行する際には管理者による承認を必要とする内部ルールを制度化しました。

また、日本政策金融公庫の資本性ローン、コロナ特別融資の活用についてメインバンクと交渉し高利の手形貸付からの債務更改を実施しました。加えて営業体制の構築について、中小企業基盤整備機構の販路開拓コーディネート事業を活用し、並行して社内で既存取引先との深耕営業PJチームを整備しました。

ポイント

収益力を改善させることが大きな課題であり、その見通しを立てることがメインバンクの支援継続の最大のハードルであると考えました。求心力のある代表者であり、『限界利益率が重要』という代表者の言葉を用いて、管理するための様式を作り活用を図って頂けたことがポイントになりました。

成果・今後の展望

再建計画の承認が得られ、メイン行からの支援が継続されている状況となりました。案件毎の管理体制が強化され利益率が向上し、財務の安全性が強化されました。2020年に約28百万円あった支払利息は2024年5月期には11百万円にまで減少し、収益改善に大きく寄与しました。

また、支援の結果、代表者以外の連帯保証及び物上保証は解除され、2024年7月に新たに実行された100百万円の融資金は、代表者保証を付さない融資を得られるまで信用力が高まりました。

相談者の声

社内には工学博士などハイキャリアの人材も多く内部統制が難しい部分がありました。外部機関の専門家にお話を頂くことで、彼らの納得感を高めて改善が進んでいきました。今後、事業拡大には営業部隊の強化が課題と考えており、引き続きのご指導をお願いしたいと考えています。

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