現状・相談のきっかけ
代表者は、眼鏡店で従業員(店長)として15年間働いてきました。実家も眼鏡店であったことから、自ら眼鏡店を経営したいという夢をかなえるため、鎌倉の地での創業を計画しました。接客スキルには自信があったものの、経営者として、損益管理、資金繰り、取引先や金融機関との交渉については、全く知識がなく途方に暮れていたところ、地元信用金庫からよろず支援拠点を紹介されたことがきっかけで、相談に至りました。
課題内容
当初は、独立して新規店舗開業を考えていましたが、オーナーが高齢であることからM&A(事業承継)の話が持ち掛けられました。店舗を引継ぐことで、創業時に集客できないというリスクを避けることができるメリットと、オーナーに支払うM&A資金が必要となるため開業資金が多額となるデメリットを比較しました。最終的にM&Aを選択し、引継いだ店舗では不良商品在庫の金額が大きいため経営を圧迫していたので、新装開店後にこの在庫をできるだけ早く処分し財務改善を行うことが急務でした。また、コロナ禍で減少傾向であった売上額は融資時に計画した事業計画に基づいて回復に向けて取り組みました。
支援内容
「商品を見せない」ワクワク感のあるショッピング体験ができる眼鏡店づくりのために
①事業承継にあたって、簡易的な財務、法務、事業のデューデリジェンスを行うこと。
②金融機関からの融資獲得のため、説得力のある事業計画書の作成。
以上を支援方針としてスタートしました。オーナーから過去5年間の確定申告書を提出してもらい内容を精査しました。一方で代表者が理想とする①最初に商品を見せない。どんな眼鏡が出てくるのか、ワクワク感のあるショッピングを体験してもらう。②対話重視の接客で「あなたに選んでもらってよかった。家族や友人に素敵だと褒められる」と言ってもらえる眼鏡を提案する。③ECでの販売はせず、店舗に来店しないと買えない、地域に人を呼び込み、地域がにぎわう眼鏡店を目標に1年間をかけて事業計画書を一緒に作成しました。
ポイント
代表者が理想とする販売方法をどうすれば実現できるか、とことん考えてもらうことを課題として投げかけました。「最初に商品を見せないワクワク感の提供」という店舗をどうすれば効果的にお客様に届けられるのかと考えていく中で、眼鏡店では珍しい完全予約制にする案にたどり着きました。実現可能性については、富裕層の既存顧客や高単価の商品など、データに裏付けられた説得力ある事業計画の作成に気を付けました。
成果・今後の展望
完全予約制による客数減少もなく、お客様から「自分では選ばないような眼鏡を提案してもらって、(買い物が)楽しかった」という言葉をいただいています。来店客数は対前年1.7倍、売上高1.5倍を計上し順調に滑りだしました。2028年までに、2店舗目の出展を計画しており店長候補の人材採用・育成支援、内部体制構築、金融機関との交渉支援等を継続して行っています。
相談者の声
接客には自信がありましたが経営者としては初めてのことばかりで、特に財務や店舗運営、法人化、採用等については大きな不安がありました。月別収支計画書をはじめとする事業計画を作成し、その進捗実績を管理することでタイムリーな店舗管理体制を構築し課題を素早く発見して対策ができました。

