現状・相談のきっかけ
受注件数が増加するなか、自動車関連部品の得意先から、カーボンニュートラル実現に向けた自動車用金属部品の樹脂化開発への協力を要請されていました。工場スペースの制約上、1台の成形機で新規部品の開発と生産を行なう必要があるため、成形機性能向上と生産性向上が必要でした。
ものづくり補助金を活用して実現したいと考え、取引行および地元商工会議所からよろず支援拠点を紹介され相談に至りました。
課題内容
成形工場での生産状況を確認したところ、性能の低い中古成形機を使用しているため当社技術が生かされていないほか、必要以上に作業工数がかかり作業時間の創出ができないため、増加する受注への対応や金属部品の樹脂化開発についても実現が困難であることがわかりました。
これにより課題を「生産性向上のための成形プロセスの改善」と「金属部品の樹脂化に必要な成形システム仕様の設定」とし、具体化に取り組みました。
支援内容
増加受注や新規部品開発向け新規成形システム導入支援
成形部品変更時の段取り時間と作業工数、成形部品毎の成形サイクルや不良率など現状の成形プロセスの実態を測定し定量化すること、またそれらのデータを基に生産性向上の目標値を設定することを提案しました。
作業観察や測定によりデータおよび生産性向上の目標設定を行うとともに、成形機に必要な性能をまとめ上げ、最終的に樹脂化部品開発に必要な従業員と成形設備の稼働時間を確保できる見通しを得ました。
また、上記内容に基づき、当社がものづくり補助金申請用事業計画書を作成し、コーディネーターは事業計画が簡潔かつ論理的で実現可能となるよう、公募要領に沿ってアドバイスを行いました。
ポイント
当社は増加する受注案件を確実に取り込み、生産性向上により高品質を維持しつつ、納期短縮とコスト削減の実現により、さらなる競争優位性の確立を目指していました。相談者の熱い想いに応えるべく、真摯に取り組むこと、助言内容を具体的に示すことに注力しました。
成果・今後の展望
ものづくり補助金に採択され、希望していた成形システムを購入することができました。高性能の成形システム導入と成形プロセス改善により、生産性は目標の11%を大きく上回る20%向上を確認しました。
なお、売上高は前期横ばいではあるものの、自動車関連を中心に既存得意先のみならず、新規企業からの引き合いが増加しています。今後、成形試作や成形プロセス改善を検討しながら、案件獲得に繋げていく予定です。
相談者の声
コーディネーターや支援機関の方々に親身になって対応していただいた結果、ものづくり補助金に採択され、生産性向上と新製品開発の実現に向けて一歩踏み出すことができました。支援期間が短く、補助金の採択は期待していなかったので、大変喜んでいます。この機会を活用して、さらなる売上拡大に繋げていきたいと思います。

