現状・相談のきっかけ
代表者の小柳氏は、英語語学力を活かしアパレル・航空宇宙開発事業・旅行・広告などで勤務することでネットワークを広げてきました。2018年頃より、プラスチック製品の廃棄物が与える環境問題に着目し、脱プラスチック製品を紙製品に代替する「紙ハンガー」の製品開発(実用新案取得済)に取り組みました。よろず支援拠点には、その事業化・実用化に関して相談に至りました。
課題内容
クリーニング業界が使用しているプラスチックハンガーを「紙ハンガー」に代替することで、CO2削減量は年間2万7,000トンにものぼります。しかし、プラスチックハンガーは1本あたり8円の購入コストで抑えられるため、コストパフォーマンスが非常に高いことが代替への障壁でした。
代表者は紙ハンガーを広告媒体として活用することを考案し、実用化試験に向けて、横浜市の大手クリーニングチェーン店(店舗数52店舗)および紙ハンガーを試作対応できる東京都の印刷事業者と連携しながら、基本的な技術要素は既に解決していました。一方で、次の展開に向けては、事業化するための仕組みづくりが必要でした。
支援内容
ビジネスモデルの磨き上げとブランド力(知名度)向上を図る
相談初期では既に、自らのコネクションと行動力を発揮されて、ビジネスとして成立させるための基本的な検討はできていたタイミングでした。そこで、支援方針として以下を設定しました。
- ビジネスモデルや収益モデルを整理し見える化を図りながら、持続可能な事業となり得るように、事業計画策定の支援を行う
- 「紙ハンガー」に対する広告主を見つけ、製造委託・仕入・販売するためには、運転資金などが必要となることから、事業費を確保するための金融支援を行う
- 認知度向上やブランド力を造成するために、「かながわビジネスオーディション」や、「湘南ビジネスコンテスト」等のビジネスコンテストを活用する
- 広告主の獲得に向け、大手代理店経由と地域企業開拓の2方向での活動を支援する
ポイント
創業意識が高い湘南地域らしい新たな事業の創出を目指し環境問題にも取り組む社会的意義が高い事業でした。一方で創業期においては過度な経営リスクを避ける必要があるため、①過度な資金調達は行わない、②代表者の活動スケジュールを加味したスピード感での事業化、③神奈川県や藤沢市の支援機関の施策との連携、などを考慮しながら支援を行ないました。
成果・今後の展望
- 事業計画の見える化達成
- 湘南ビジネスモデルコンテスト2025のファイナリストへの選出
- 事業化融資の獲得
- 事業化拡大に向けた、販路開拓の継続支援
相談者の声
意気揚々と起業しましたが、何をすべきか全く分からず非常に孤独でした。そんな中、よろず支援拠点の森さんと出会ったことで様々な課題を見つけてくださり、一緒に悩みながらもワイワイ楽しく解決策を導いてくださったことで、気がつけば会社らしく整えることができ心強く感じています。

