現状・相談のきっかけ
相談者は、今までの業務経験を生かして半導体測定サービス会社を2025年10月を目途に立ち上げたいと考えていましたが、半導体測定器はアメリカで権威のある大学教授を中心に開発された機器のため購入には高額な融資が必要でした。日本政策金融公庫からよろず支援拠点の紹介を受け、事業計画のブラッシュアップ支援を開始しました。
課題内容
相談者の専門分野の経験を生かしたビジネスであり、実現可能性が高い計画と思われましたが、一方で売上利益計画や資金計画など経営面・財務面では不十分と感じられました。融資希望額が運転資金も含めて金融機関の融資限度額いっぱいとなっており、引き合いは強いものの確実な受注がない状況では、希望する融資額を引き出すことは困難と思われたことから、以下の通り課題を設定しました。
- 設備投資額の見直し
- 受注見込み確度の向上
- 数値計画の精度向上
- 実現可能性の高い資金計画の作成
- 法人設立へ向けた確実な準備
支援内容
相談者の不安を取り除くための支援の実施
- 設備投資額の見直し
測定器のレンタルや分割払いの可能性について模索しました。相談者は測定器の開発元であるアメリカの大学教授とも懇意にしていることから、教授と折衝していただき2回の分割払いをすることと、国内の独占契約を締結していただける事になりました。
- 受注見込み確度の向上
継続して大手企業へのアプローチを進めていただき、相談時は7社だった見込み企業が、法人設立時点で15社に増やすことができました。
- 数値計画の精度向上
売上については根拠も含めて良く考えられていましたが、経費面の漏れや貸借対照表、キャッシュフロー計算書との整合がとれていなかったため、考え方を説明し見直していただきました。
- 実現可能性の高い資金計画の作成
運転資金の考え方、自己資金の考え方などを説明し、妥当性のある資金計画とすることができました。
- 法人設立へ向けた確実な準備
法人設立が確定しているため、創業セミナー受講による登録免許税の減免や融資の際の優遇措置、補助金活用時のメリットなどを説明し受講していただきました。また、資本金の考え方や定款の作成方法など法人設立に向けた準備についても説明し、計画的に準備を進めることができました。
ポイント
相談者は半導体業界の状況や市場規模、価格相場などについては十分熟知されており人脈も確かなものがあったため、その点については特にアドバイス不要と考えました。その反面、大企業の管理職であったために中小企業の資金繰りの方法などには詳しくなく、資金面での不安を抱えられていたことから、主に中小企業の起業における財務面の考え方や資金繰りの方法などについて支援ができると考え、その点を重点的にアドバイスを行いました。アドバイスを非常に真摯に受け止めていただき、迅速に対応していただけたので、着実に準備を進めることができました。
成果・今後の展望
引き合い獲得に際しては、有望と思われた案件が消滅することなどもありましたが、一つ一つ丁寧に進めることで着実に引き合い案件を増やし、当初相談時の計画通り、2025年10月下旬に法人設立を完了するとともに、融資も2つの金融機関から限度額まで調達するなど協調融資まで漕ぎつけました。今後は、測定器の早期導入および引き合いの実案件化に注力し、早期に事業実績を作ることを目指して継続支援を行っていく予定です。
相談者の声
神奈川県よろず支援様の豊富なご経験やご知見に裏付けされた信頼性の高い的確なご助言のおかげで私のような素人の構想段階から応援して頂けるだけでなくモチベーションを高めて頂くことまでご対応頂き、その結果融資機関との調整までこぎつけることが出来ました。本当に有難うございました。なるべく早く恩返しをしたいという気持ちでいっぱいです。

